※この記事には広告が含まれます。日常の場面や会話は、サクラックのプロフィールをもとに構成したエッセイです。LAVAの受講体験や減量実績を紹介するものではありません。
夜九時四十分。洗濯物を畳んでいた私は、首にかけたタオルを握ったまま、体重計の前で立ち止まった。
お風呂上がりに見た数字が、夕方より少し小さかったのだ。
「もしかして、今日の私は頑張った?」
その日いちばん長く続けた運動は、ソファで寝返りを打つことだった。それでも私は、減った数字の前では、ずいぶん自分に都合よくなれる。
窓の外では、車が濡れた道路を通る音がした。部屋には洗剤の甘い香りが残っている。私は常温の水を飲みながら、さっきの数字を頭の中でもう一度見た。
汗をかけば、痩せる。
汗をかけば、肌もきれいになる。
どこかで聞いた言葉を、いつの間にか、私専用の希望に作り替えていたらしい。
スマートフォンに打ち込んだのは、「ホットヨガ 痩せたい」。
検索ボタンを押す指だけは、迷いがなかった。
タオル一枚に、期待を詰め込みすぎた夜

減った数字に、私はすぐ拍手をする
正直に言うと、私は、きれいになりたい。
お気に入りのパンツを、息を止めずにはきたい。写真を撮ったあと、自分の輪郭だけ拡大して確認する時間を減らしたい。
けれど、食事を整えて、無理なく体を動かして、数週間、数か月と様子を見る。その「すぐには結果が出ない時間」が、どうにも苦手だ。
頑張ったら、その日のうちに何か見せてほしい。
作家を目指して文章を書いているくせに、体づくりについては、伏線を張った翌日に最終回を迎えたがる。
汗は、そのせっかちな私に、とても分かりやすく見えた。
額を流れる。服の色が変わる。タオルが湿る。
何かをした証拠が、目に見える。
家で原稿を書いている日は、午後まで机に向かっていても、一段落しか進まないことがある。洗濯も食事の支度もしたのに、夜になると「今日、私は何をしたんだろう」と思う日もある。
本当は、何もしていないわけではない。
でも、形に残らなかったことを、自分の中でちゃんと数えるのが苦手なのだ。
ホットヨガに惹かれたのも、引き締まった体への憧れと一緒に、「今日は頑張った」と分かるものが欲しかったからだと思う。
そこへ、少し格好の悪い期待も混ざる。
温かい部屋に行って、汗をたくさんかけば、私の苦手な地道さを少し飛び越えられるのではないか。
もちろん、動くつもりはある。
ただ、できれば汗にも多めに働いていただきたい。
そんな気持ちで調べ始めた私は、早々に、自分にとって都合のよくない情報に出会った。
汗の量は、脂肪が減った量を示すものではない。
汗の主な役割は体温調節で、発汗によって体重が一時的に減っても、それは主に水分の変化。水分補給で戻ることがある。暑さや湿度などでも汗の量は変わるため、汗びっしょりだから運動の成果が大きい、とも言い切れないという。参考:Cleveland Clinicの発汗と消費カロリーの解説
私はコップを置いた。
さっきの拍手は、いったん保留になった。
頑張った顔を、誰かに見せたかった
翌日、友人と電話をしているときに、ホットヨガが気になっていると話した。
「運動を始めたいんだ」
最初は、きちんとした人の言い方をした。
でも、そのあとすぐに、「汗をいっぱいかいたら、すぐ変わりそうじゃない?」と付け足してしまった。
友人は少し笑って、「すぐ、が大事なんだね」と言った。
責められたわけではないのに、私はキッチンの床の小さなパンくずを見つめた。見つめる場所が必要なとき、床は意外と頼りになる。
そう。私には「すぐ」が大事だった。
続けた先の変化より、始めたばかりの自分を早く褒めたい。まだ何も変わっていない期間に、「また口だけだった」と自分で自分に言いたくない。
飲食と美容の仕事をしていた約十年間にも、似た焦りはあった。
忙しい日は、足が重くなるまで動いた。鏡を見ると、口紅は薄れ、前髪も朝とは違う方向を向いている。それでも、疲れた顔をした自分に、どこか安心していた。
今日も、ちゃんと働いた。
逆に、お客様が少ない日や、準備を中心にした日は、必要な仕事をしていても、なぜか少し後ろめたかった。
消耗していないと、努力していない気がする。
その癖を、退職した今も、私は部屋に持ち帰っているのかもしれない。
美容の接客では、お客様の変化を急かさないように気をつけていた。新しいお手入れを始めた人に、翌日から結果を求めたりはしない。
なのに、自分のことになると、待つのが下手になる。
汗をかくほど一生懸命な私なら、認めてあげられる。
数字が減った私なら、今日は責めずに済む。
私が欲しかったのは、細くなることだけでなく、自分を認めるための、分かりやすい理由だった。
電話を切ったあと、パンくずを拾った。
誰にも褒められないし、体重にもたぶん関係しない。でも、さっきより床はきれいになった。
こういう小さなことまで、なかったことにしなくてもいいのだと思った。
それでも、スマートフォンのホットヨガのページは閉じなかった。
間違っていた期待を少しほどいたあとにも、「やってみたい」は残っていたから。
LAVAの画面と、冷めていくコーヒー
いくつか見ている中で、私が詳しく読んだのが、ホットヨガスタジオLAVAだった。
温かい環境で体を動かす時間を、生活の中に一つ置いてみたい。家で思いついたときだけ頑張るより、出かける場所があるほうが、私には始めやすいかもしれないと思った。
ひとり暮らしで、自分の予定を自分で決められるのは気楽だ。
ただ、その自由の中では、体を動かす予定が、洗濯や原稿や「あと一本だけ見る動画」に簡単に席を譲ってしまう。
予約を入れることが、自分の時間を確保する助けになるなら。それが、私にとっての魅力だった。
LAVAの公式サイトでは、初心者向けを含む複数のプログラムが紹介されている。ただし、受けられるレッスンは店舗によって異なる。私は難しそうなポーズの写真よりも、通える店舗の時間割を先に見たいと思った。LAVA公式・料金とプログラムの案内
憧れの生活と、実際に通える生活は、少し違う。
朝から軽やかに出かける自分を想像するのは好きだけれど、普段の私は、コーヒーをいれてからやっと一日を始める人だ。
そんな私が、勢いだけで早朝の予定を詰めたら、ヨガの前に起床と戦うことになる。
料金の案内を見たときも、最初に目が行ったのは体験やキャンペーンの表示だった。
始めるときの負担が小さく見えると、心は動く。
けれど、今回は、その先まで読むことにした。
通いたい店舗の通常月会費。別にかかる費用。キャンペーンを使う場合の適用条件や継続期間。途中でやめる場合の費用、休会や退会の手続き。
「始められる金額」と「続けられる金額」を、同じにしない。
これは、今の私が自分に約束しておきたいことだ。
料金や条件は店舗、プラン、申込時期などで変わるため、申し込むときは公式案内で確認し、分からない部分は説明してもらいたい。LAVA公式・料金案内
月に何回も通うつもりで計算すれば、一回あたりの金額は魅力的に見える。でも、その計算に登場している私は、いつも元気で、原稿が予定どおりに進み、雨の日もためらわずに出かける。
少し理想化しすぎている。
だから私は、忙しい週の自分も含めて考えたい。
片道の移動時間も、着替えも、帰ってからの洗濯も含めて、それでもまた行きたいと思えるか。そこは、写真や数字だけでは分からない。
LAVAの体験案内には、レッスン開始の三十分前に来店し、受付から着替えまで約二時間を見ておくことが書かれていた。手ぶら体験でも、替えの下着など自分で用意するものがある。LAVA公式・はじめての方へ
私はスケジュール帳の、小さな空白を見た。
一時間の運動を入れるというより、自分のために二時間ほど空ける。そう考えると、少しぜいたくにも、必要なことにも思えた。
この時点では、私はまだレッスンを受けていない。
だから、通えば痩せるとも、肌が変わるとも書けない。ただ、体験するなら確かめたいことは、前よりはっきりしてきた。
汗がどれだけ出るかより、その環境で無理なく動けるか。
周りについていくことより、自分のペースを守れそうか。
その二つを、ちゃんと持って行きたい。
まだ変わらない私に、水を一杯
「汗をかけばきれいになれる」は、本当なのだろうか。
私が調べて受け取った答えは、汗をかいたという事実だけで、痩せたり、肌がきれいになったりすると約束できるわけではない、というものだった。
運動として体を動かすことと、暑さによって汗をかくことは、分けて考えたほうがよさそうだ。体重を長い目で変えたいなら、食事や日々の活動も関係する。ホットヨガだけに、生活全部の帳尻を合わせてもらうのは難しい。参考:Mayo Clinicのホットヨガと減量に関する解説
少し残念だった。
正直に書くと、やっぱり、少し残念だった。
私は、たった一つの新しい習慣が、いろいろな不満をまとめて解決してくれる物語が好きなのだ。
でも、その期待を抱えたまま始めたら、体重がすぐ変わらない日に、ホットヨガにも自分にもがっかりしてしまう。
それは、まだ何も始めていないうちから、ずいぶん厳しい約束を結ぶことになる。
熱い環境が苦手な人に、ホットヨガが合うとは限らないことも知った。
暑さの中での運動には脱水や熱中症などのリスクがある。水分を補給し、めまいや気分の悪さが出たら中止する。持病がある場合や妊娠中などは、始める前に医師へ相談する必要がある。参考:Mayo Clinic・ホットヨガの注意点
私は、周りが続けていると、自分だけ休むのをためらいそうだ。
だからこそ、始める前に覚えておきたい。苦しさを我慢した分だけ、結果が出るわけではない。
もし暑さが合わなかったら、常温のヨガや散歩を選ぶこともできる。体験は、自分を合格させる試験ではなく、自分とその場所の相性を確かめる時間なのだと思う。
LAVAが気になっている人がいたら、まずは通える店舗のレッスンや料金、体験条件を見てみると、想像が少し具体的になるかもしれない。私は、その確認をしてから、体験の日を選びたい。
今も、痩せたい気持ちはある。
パンツをすっとはけたらうれしいし、写真を見て落ち込む日だって、きっとまたある。
「今の自分を好きになろう」と言われたからといって、急にすべてが好きになるわけでもない。
それでも、これから何かを始めるなら、汗の量だけで一日の点数をつけるのはやめたい。
予定どおりに出かけられたこと。
無理をしすぎずに終えられたこと。
次も行ってみたいと思えたこと。
そういう、小さくて、体重計には表示されない変化も、私のノートには書いておける。
文章を書くとき、一行しか進まなかった日が、あとから大事だったと分かることがある。体を大切にすることにも、そういう時間があるのかもしれない。
その夜、私は畳み終えたタオルを棚に戻した。
昨日、少し減った数字に喜んだ体重計は、同じ場所に置いてある。今日はもう一度乗る代わりに、コップに水を注いだ。
冷めたコーヒーのカップの隣で、水面が小さく揺れた。
スマートフォンには、まだLAVAのページが開いている。申し込みの前に確認したいことを、ノートに二行だけ書いた。
あなたにも、結果が出る前の自分に、かけてあげたい言葉はあるだろうか。
私はまだ、うまい言葉を探している。
とりあえず今夜は、水を飲もう。
痩せたい私を、急がせすぎないために。









