鏡の前で右足を上げた瞬間、私はゴルフではなく片足立ち選手権に出場していた。
朝の光が差し込む部屋で、片手は壁、もう片方はストッキング。床にはスカート、サンバイザー、日焼け止めが散らばり、優雅なゴルフ女子の準備風景とはずいぶん違う。
しかも、ようやく通ったと思った足先を見て、私は気づいた。
「……前と後ろ、逆じゃない?」
きれいに見せたい朝ほど、私の身支度は小さなコントになる。
けれど、その日いちばん気になっていたのは、ストッキングの前後ではなかった。
鏡に映ったお腹まわりと、スカートから出る脚だった。
スポーツをするのだから、動きやすければ十分。そう言い切れたら格好いい。
でも私は、スイングも気になるし、写真に写ったときの脚も気になる。日焼けは避けたいし、下腹はできれば静かにしていてほしい。
運動中まで見た目を気にするなんて、少し欲張りなのかもしれない。
それでも私は思う。
体を動かす日こそ、自分の好きな格好でいたい。
汗をかいても、髪が乱れても、鏡を見たときに「今日の私、悪くない」と思えるだけで、最初の一歩は少し軽くなるから。
きれいに動きたい日は、心まで少し忙しい

スカートの下に隠していた、私の小さな見栄
私は作家を目指しながらブログを書いている、独身女性のサクラックです。
飲食業界と美容業界で約10年働き、たくさんの女性を見てきた。
きれいな人にも悩みはあり、自信があるように見える人も、鏡の前ではそっと姿勢を直す。
美容の仕事をしていた頃、お客様が試着室から出てきて、服そのものより先にお腹を手で隠す場面を何度も見た。
「これ、ラインが出ますよね」
そう言いながら笑う声には、着たい気持ちと諦めたくなる気持ちが半分ずつ入っていた。
私はそのたびに、サイズや形だけではなく、その人がどんな一日を過ごしたいのかを想像するようになった。
人をきれいにするには、まず心が整っていること。
接客の現場で覚えたこの感覚は、今も私の中に残っている。
ところが、自分のことになると話は別だ。
「動きやすければいいじゃない」
そう言いながら、私は鏡の前で三回も横を向く。
お腹を引っ込め、力を抜き、もう一度引っ込める。
呼吸と引き換えに手に入れる細見えは、長続きしない。
ゴルフやテニス、ダンスのように体を大きく動かす日は、ウェアのラインも脚の日焼けも気になる。
でも、補整下着を重ねて窮屈になるのは嫌だ。汗で蒸れるのも避けたい。
きれいになりたいのに、苦しい努力はしたくない。
私の美意識は高い日もあるけれど、根性は曜日によって欠勤する。
だから「美意識の高いアクティブ女性」という言葉を見ると、少しだけ身構える。
その女性はきっと、朝から白湯を飲み、ウェアも完璧に整え、忘れ物などしない気がする。
一方の私は、サンバイザーを探しながら、なぜか冷蔵庫を開けていた。
それでも、完璧でなくてもきれいを楽しんでいいはずだ。
誰かに見せるためだけではなく、自分の気分を上げるために。
その気持ちが、GIRDLUXを知ったときに最初に動いたものだった。
「ナイスショット」の前に、ウエストが丸まった
小さな事件は、友人と練習へ出かける日の朝に起きた。
私は手持ちのストッキングの上に少しタイトなスカートをはき、鏡の前でそれらしい構えをしてみた。
ゴルフクラブの代わりに持っていたのは、なぜか長い靴べらだった。
右へひねる。
左へ戻る。
その瞬間、ウエスト部分がくるりと丸まり、お腹のいちばん見られたくない場所に細い輪ができた。
「そこに集合しなくていいのよ」
思わずストッキングに話しかけた。
電話越しの友人にその話をすると、笑いながら言われた。
「サクラック、プレーする前からウェアと戦ってるね」
まったくその通りだった。
私はゴルフが上手に見えたいわけではない。
いや、できれば少しは上手に見えたい。
でも本当は、動くたびにお腹や裾を直し、自分の体ばかり気にしている時間を減らしたかったのだと思う。
美しく見せたいという気持ちは、ときどき外見の話だけにされる。
でも私にとっては、目の前の時間に集中するための準備でもある。
ウェアがずれる。
脚が焼ける。
汗でベタつく。
写真を撮られるたびに姿勢を作る。
一つひとつは小さい。
でも、小さな気がかりが重なると、せっかく体を動かしに来たのに、心だけがベンチに座ってしまう。
友人との電話を切ったあと、私はスマートフォンで「ゴルフ ストッキング ガードル」と検索した。
そこで目に留まったのが、ソフトガードル機能付きのスポーツ用ストッキング、GIRDLUXだった。
一足3,850円を見て、私の財布は急に慎重になった
商品ページを開いて最初に気になったのは、やはりソフトガードル機能だった。
GIRDLUXは、ウエスト部分の加圧編みと3D形状編みで、お腹やヒップ、脚のラインをすっきり見せることを目指したストッキング。
強く締め上げるというより、動きやすさを残しながら整えて見せる設計らしい。
さらに、公式サイトによるとUVカット率はUV-A 95.5%、UV-B 98.7%。
一般的なストッキングより高密度に編まれ、穴が開いても広がりにくく、伝線しにくい構造だという。
つま先とかかとが開いたトレンカタイプなのも、スポーツ用らしい。
靴の中で滑りにくく、蒸れにくいよう考えられている。
吸汗速乾、高通気性、抗菌防臭加工、ローズマリーの香り付き。
カラーはskin beigeとcoffee beigeの2色で、光沢を抑えた素肌に近い見え方を目指しているそうだ。
ゴルフだけでなく、公式ではテニス、ランニング、キャンプや釣りなどの屋外シーンも挙げられている。
ダンスで使いたい場合は、レッスン内容や床、シューズとの相性、動きの激しさが違うため、まずは練習時に短時間から確かめるのが安心だと思う。
ここまで読むと、私の中の「きれいに動きたい係」は、かなり前のめりになった。
ところが、販売価格は一足3,850円(税込)。
「ストッキング一足に、三千八百五十円……」
私は小声で読み上げた。
声にすると急に現実味が増す。普通のストッキングを買う感覚なら、気軽な金額ではない。
その一方で、日焼け対策、体のライン、動きやすさ、伝線への配慮を別々のアイテムで補うことを考えると、一枚でいくつも気がかりを減らせる点には惹かれる。
頻繁に屋外スポーツを楽しむ人なら、使う回数で考える価値はありそうだった。
ただし、誰にでも合うとは言い切れない。
着圧やウエストの圧迫感が苦手な人、香りに敏感な人、足先まで覆うタイプが好きな人には、好みが分かれそうだ。
肌色は画面と実際で印象が変わることもあるので、色選びも慎重にしたい。
肌が敏感な人は素材や加工を確認し、違和感があれば無理をしないほうがいい。
また、UVカット機能があっても、衣類で覆われていない足の甲などは別の対策が必要になる。
日差しの強さや着用状況によっても違うため、「これ一枚で何も考えなくていい」と思わないほうが、たぶん賢い。
私は美容業界にいたからこそ、「絶対」「誰でも」「履くだけで完璧」という言葉には少し距離を置く。
体の形も、肌の色も、心地よい締め付けも人それぞれだ。
大切なのは、商品の立派な機能より、自分が何を気にせず楽しみたいのかだと思う。
ゴルフでスカートをきれいにはきたい人。
テニスで脚の日焼けが気になる人。
ダンスやランニングで、動きやすさを邪魔せずシルエットも整えたい人。
そんなふうに、体を動かす時間とおしゃれの両方を大切にしたい女性には、GIRDLUXは検討しやすい選択肢の一つだと感じた。
欲しかったのは、細い脚より「気にしない時間」だった
私は長いあいだ、きれいになるとは、何かを足すことだと思っていた。
新しいコスメを足す。
似合う服を足す。
努力を足す。
姿勢を正し、お腹に力を入れ、笑顔まで足す。
でも最近は、きれいになることには「気がかりを減らす」という方向もあるのだと思う。
日焼けのことを何度も考えなくていい。
スカートの下でウエストが丸まっていないか、こっそり確認しなくていい。
写真を撮るたびに脚を不自然に斜めへ伸ばさなくていい。
そういう小さな安心があれば、ボールを追うことや、音楽に合わせること、友人と笑うことに、もう少し心を使える。
もちろん、ストッキング一枚で自信のすべてが完成するわけではない。
スイングは急に美しくならないし、ダンスの振りも覚えてはくれない。
婚活の返事まで代わりに考えてくれたら3,850円はむしろ安いけれど、さすがにそこまでは頼めない。
それでも、身につけるものが自分の小さな不安を一つ引き受けてくれるなら、試す意味はある。
美意識が高いというのは、常に完璧に整っていることではないのかもしれない。
自分が心地よく動ける方法を、自分のために選んであげること。
それも十分、きれいを大切にしている行為だ。
私はもう一度、朝の鏡の前に立った。
床に散らばったウェアを拾い、サンバイザーをバッグへ入れる。
さっきまで敵のように見えていたゴルフスカートも、今はただの服に戻っていた。
お腹は急に平らにならない。脚だって広告写真のようには伸びない。
それでも、昨日より少しだけ、自分を連れて出かけるのが楽しみになっている。
鏡の中の私は、完璧なアクティブ女性ではない。
ストッキングの前後を間違え、靴べらでスイングし、価格を見て三分悩む。
でも、そんな私にも、きれいに動きたい日はある。
あなたがスポーツをするとき、できれば忘れていたい小さな気がかりは何ですか。









