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「大丈夫です」と笑った私が、職場の人間関係に疲れた夜に見つけた小さな逃げ道

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目次

「大丈夫です」と笑った私が、帰りの電車でため息を数えた夜

プリンと付箋の小さな笑い

閉店後の店内には、洗剤と冷めたコーヒーの匂いが残っていた。

「今日もありがとうございました」

そう言って頭を下げた私の声は、自分でも感心するほど明るかった。

けれど、ロッカーの扉を閉めた瞬間、心の中では盛大に叫んでいた。

――ぜんぜん、大丈夫じゃない。

接客業をしていた頃の私は、「感じのいい人」でいることが得意だった。

飲食業界と美容業界で働いた約10年間。お客様の前では笑い、同僚には気を配り、空気が少し悪くなると、頼まれてもいないのに心の換気扇を回していた。

ただし、その換気扇はだいたい私の心だけを吸い込んでいく。

誰かの機嫌が悪いと、「私、何かしたかな」と考える。

先輩の返事がいつもより短いと、昨日の会話まで巻き戻す。

同僚同士が小声で話していると、なぜか自分の名前が登場している気がする。

実際にはランチの相談かもしれないのに、私の脳内だけでは緊急記者会見が始まっていた。

職場の人間関係でつらいとき、本当に苦しいのは、嫌なことを言われた瞬間だけではない。

会社を出ても、電車に乗っても、お風呂に入っても、頭の中で同じ場面が再放送されることだった。

今日は、そんな私が職場の人間関係を助けるアプリ「ahame(アハミー)」を知って、自分の気持ちとの付き合い方を少し考え直した話を書いてみたい。

人間関係が魔法のように解決した話ではない。

苦手な人が、翌朝から急に優しい妖精になった話でもない。

ただ、つらい気持ちは、今の形のまま永遠に続くとは限らない。

そのことだけは、あの頃の私にそっと教えてあげたいと思っている。

笑顔の下で、心だけが残業していた

「気にしていません」と言ったあとが、いちばん長い

美容業界で働いていた頃、少し苦手な先輩がいた。

仕事は速く、知識も豊富で、お客様への対応もきちんとしている。尊敬できるところはたくさんあった。

でも、日によって言うことが変わる人でもあった。

昨日は「自分で判断して動いて」と言われたのに、今日は「勝手なことをしないで」と注意される。

私は頭の中で、昨日の先輩と今日の先輩による討論会を開催した。

もちろん、司会者は私である。

そして両者の意見は最後までまとまらない。

「昨日は、こうするように言われたと思ったのですが……」

勇気を出して伝えたこともある。

先輩は悪気のなさそうな顔で、「そんなに気にしなくていいよ」と笑った。

私は反射的に答えた。

「はい、気にしていません」

気にしていた。

かなり気にしていた。

気にしていない人は、帰りの電車で窓に映る自分を見ながら、同じ会話を七回も再生しない。

けれど、職場で「傷つきました」と言うのは難しい。

面倒な人だと思われたくない。

打たれ弱いと思われたくない。

できれば誰からも嫌われたくない。

その一方で、もうこれ以上は無理に合わせたくない。

「好かれたい私」と「放っておいてほしい私」が、毎日狭い心の中で椅子取りゲームをしていた。

私は長い間、人間関係がうまくいかないのは、自分のコミュニケーション能力が足りないからだと思っていた。

もっと気を利かせればいい。

もっと上手に言葉を選べばいい。

もっと明るく振る舞えばいい。

そうやって「もっと」を積み重ねるほど、なぜか私は自分の気持ちから遠ざかっていった。

本当は腹が立っていたのに、悲しいことにしてしまう。

本当は傷ついていたのに、疲れているだけだと思い込む。

本当は休みたかったのに、コンビニで甘いものを買って解決したことにする。

ちなみにプリンには高い癒やし能力があるけれど、職場の問題を人知れず改善する権限までは与えられていない。

それでも私は、帰宅してプリンのふたを開けながら、「明日はうまくやろう」と考えていた。

うまくやるべきなのは、いつも私だと思っていた。

冷蔵庫のプリンより先に、怒りの名前を書いてしまった

ある日、私は職場で小さな失敗をした。

後輩に伝えるはずだった連絡を忘れてしまったのだ。

大きな事故にはならなかったけれど、先輩から人前で少し強い口調で注意された。

「何度も言ってるよね?」

その言葉に、胸の奥がぎゅっと縮んだ。

注意された内容そのものは正しかった。連絡を忘れたのは私だ。

だから謝った。

ところが、そのあとがよくなかった。

休憩室に戻った私は、冷蔵庫に入れていた自分のプリンに貼るつもりの付箋へ、無意識にこう書いた。

「言い方!」

書いてから気づいた。

商品名でも賞味期限でも、自分の名前でもない。

怒りの要点が、黄色い付箋の中央に堂々と鎮座していた。

慌てて丸めて捨てたけれど、少しだけ笑ってしまった。

私は失敗を指摘されたことよりも、人前で強い言い方をされたことが苦しかったのだ。

自分の感情なのに、付箋に書いて初めて分かった。

私たちはよく、「イライラした」「最悪だった」「もう嫌だ」という大きな袋に、いろいろな感情をまとめて押し込んでしまう。

でも袋の中には、悔しさ、恥ずかしさ、寂しさ、怖さ、理不尽さが混ざっている。

中身が分からないままでは、どう扱えばいいのかも分からない。

その夜、私は友人にメッセージを送った。

「今日、仕事で注意されて落ち込んでる」

すると友人から、すぐに返信が届いた。

「注意されたことが嫌だったの? 言い方が嫌だったの?」

私はスマートフォンを持ったまま、少し黙った。

「言い方」

冷蔵庫の前で書いた言葉と同じだった。

友人は、「じゃあ、全部あなたが悪いわけじゃないね」と返してくれた。

その一文を読んだ瞬間、肩の力が少し抜けた。

私には反省するところがあった。でも、傷ついた気持ちまで否定する必要はなかった。

反省と我慢は、同じものではなかったのだ。

欲しかったのは、正しい返事より気持ちの置き場所だった

職場の人間関係が苦しかった頃の私は、解決方法を検索しては、そっと画面を閉じていた。

「苦手な上司への対処法」

「職場で嫌われない話し方」

「気にしすぎる性格を直す方法」

検索結果には、たくさんの正しい言葉が並んでいた。

相手の立場を考えましょう。

感情的にならず、事実を伝えましょう。

適切な距離を取りましょう。

どれも間違っていない。

けれど、心が弱っている夜には、その正しさが宿題のように見えることがあった。

私はもう十分、相手の立場を考えている。

感情を抑えることにも慣れている。

適切な距離を取れるなら、そもそもこんなに悩んでいない。

そんなときに知ったのが、職場の人間関係やストレスに向き合うためのアプリ「ahame(アハミー)」だった。

ahameは、心理学をもとにした9タイプ性格診断、短時間の動画、職場で感じた感情の記録、AIとの対話などを通して、自分や相手の感情を理解し、コミュニケーションに生かす力であるEQの向上を支援するサービスだという。公式案内では、1日3分ほどから取り組める設計と紹介されている。

最初に見たとき、私は少し疑った。

「人間関係って、アプリでどうにかなるほど素直でしたっけ?」

人は通知をオフにすれば静かになるけれど、苦手な同僚は設定画面からオフにできない。

性格診断をした翌日に、上司が理想の話し方へアップデートされるわけでもない。

だから私は、これだけで職場の問題がすべて解決するとは思っていない。

それでも気になったのは、「感情を記録する」という機能だった。

あの付箋の「言い方!」を思い出したからだ。

感情は目に見えない。

見えないから、「こんなことで傷つく自分が悪い」「私が我慢すれば済む」と片づけやすい。

けれど、「今日はイライラした」「頑張った」「悲しかった」と記録すれば、少なくとも自分の中で起きていることを無視しにくくなる。

AIパートナー「こねっちAI」には、愚痴や悩み、日々の出来事などを話せるという。誰かに相談するほどではないと思う夜や、友人へ同じ話を何度も送るのが申し訳なくなる夜に、気持ちを言葉へ変える入口にはなりそうだと感じた。

性格診断も、「あなたはこのタイプだから仕方ありません」という免罪符としてではなく、自分の反応の癖を知る材料として使うなら面白い。

私は相手の機嫌を先回りして読みすぎる。

頼まれていないことまで引き受け、あとからひとりで疲れる。

「大丈夫です」と言いながら、心の中では大丈夫ではない自分に気づいてほしいと思っている。

なかなか面倒である。

でも、面倒だから駄目なのではなく、それが私の反応の癖なら、少しずつ扱い方を覚えればいい。

なお、個人向けのBasic月額プランは、現在App Store上で500円と表示されている。App Storeの料金表示

月額500円を見た私は、まずコンビニスイーツ何個分かを計算した。

こういうときだけ暗算が速い。

続けられるか分からない人は、利用できる機能、対応端末、課金や解約の条件をストアで確認してから始めたほうが安心だと思う。

短い動画や診断が好きな人、自分の感情を振り返る習慣をつくりたい人には試しやすそうだ。

一方で、診断結果に自分を当てはめすぎてしまう人、アプリを開くこと自体が負担になるほど疲れている人には、無理に続ける必要はない。

そして、暴言、嫌がらせ、ハラスメント、体調不良まで起きている場合は、「自分の受け止め方を変えればいい」と我慢しないでほしい。

ahameは自分の感情やコミュニケーションを見つめる助けにはなっても、危険な職場環境をひとりで耐えるための道具ではない。

記録を残し、信頼できる人や社内外の相談窓口、必要に応じて医療機関などへつながることも、大切な選択肢だと思う。

つらさは、今日と同じ形で居座り続けるとは限らない

昔の私は、人間関係の悩みには一つの正解があると思っていた。

うまい言い方を覚えれば、誰とでも仲良くできる。

もっと大人になれば、嫌な言葉も気にならなくなる。

自分が変われば、職場はきっと平和になる。

でも、10年ほど接客の仕事をして分かったのは、人と人の間には、努力だけでは埋まらない溝もあるということだった。

こちらが丁寧に話しても、乱暴に返す人はいる。

何度説明しても、気分で受け取り方を変える人もいる。

相性が合わないことだってある。

だから、人間関係のストレスを抱えている自分を、すぐに「コミュニケーションが下手」と決めなくていい。

必要なのは、相手を完璧に攻略することではなく、自分の中で起きていることを置き去りにしないことなのかもしれない。

「あの言い方は悲しかった」

「私は今、怒っている」

「今日はよく我慢した」

「本当は助けてほしい」

そうやって気持ちに名前をつけると、悩みが一瞬で消えなくても、自分まで敵に回さずに済む。

私がahameに期待したいのも、苦手な相手を好きにさせてくれることではない。

職場から持ち帰った気持ちを、ベッドの中まで抱え込む前に、少しだけ整理する時間をつくることだ。

人間関係が苦しいと、世界中の人から嫌われているような気分になる夜がある。

でも実際には、ある一人の不機嫌や、ある一日の失敗が、心の画面いっぱいに拡大表示されているだけかもしれない。

画面を少し縮小すると、別の景色も残っている。

話を聞いてくれる友人がいる。

帰り道に見える夕焼けがある。

自分のために買ったプリンがある。

そして、今日をなんとか終えた自分もいる。

つらい気持ちは、命令されて消えるものではない。

「前向きになろう」と言われて、すぐ前を向けるなら苦労はしない。

それでも、言葉にする、記録する、少し距離を置く、誰かに話す。

そんな小さな動きによって、つらさの形は少しずつ変わっていく。

あの夜、仕事帰りの電車の窓には、疲れた顔の私が映っていた。

今なら、その私にこう言いたい。

「もっと上手にやりなさい」ではなく、

「今日、何がいちばん嫌だった?」

たぶん彼女は、少し考えてから答える。

「注意されたことより、自分の気持ちまで無かったことにしたのが嫌だった」

電車は変わらず揺れ、苦手な人も明日には変わっていないだろう。

それでも、スマートフォンの中に気持ちを一つ残してから帰るだけで、夜の重さは少し違うかもしれない。

完璧に立ち直れなくてもいい。

昨日よりほんの少し、自分の味方でいられたら、それで十分な日もある。

あなたが今日、心の中で「大丈夫」と言えなかったのは、どんな瞬間でしたか。


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