洗濯物を放置した私に、元気はどこから戻ってきたのか

朝7時12分、スマートフォンのアラームを止めようとして、私はなぜか電卓を開いた。
寝ぼけていたのだと思う。
画面には「0」の数字がひとつ。
それが今日の私のやる気を、ずいぶん正確に表していた。
カーテンの向こうは、腹が立つほどの快晴。
冷蔵庫には昨日買ったヨーグルト。机には書きかけのブログ。婚活アプリには「おはようございます!」という健康的すぎるメッセージ。
世の中はもう動き始めているのに、私だけが布団の中で読み込み中だった。
「あと5分だけ」
そう言って目を閉じ、次に時計を見たときには42分が経過していた。
私の「あと5分」は、ときどき時空をゆがめる。
やる気を探す前に、私は電池切れを認めることにした
私は作家を目指している独身女性ブロガー、サクラック。
以前は飲食業界と美容業界で約10年間働いていた。
お客様の前に立つ仕事では、少しくらい疲れていても笑顔を作る。
声の高さをほんの少し上げて、「いらっしゃいませ」と言う。
不思議なもので、笑顔を作っているうちに本当に元気になる日もあった。
けれど、どうしてもならない日もある。
口角は上がっているのに、心の中では床に寝転がっている。
人をきれいにしたり、気持ちよく食事をしてもらったりする仕事なのに、自分の心はバックヤードの段ボール箱のように隅へ押し込めていた。
あの頃の私は、元気がないことを「甘え」だと思っていた。
今の私は少しだけ違う。
元気が出ない日は、心が怠けているとは限らない。
体が先に「今日はちょっと無理です」と、小さな札を出していることもあるのだ。
私のやる気は、洗濯機の底から発見された
その日の予定は、午前中にブログを一本書き、午後から買い物へ行き、夜は婚活アプリで知り合った人とオンラインで話すことだった。
手帳に書いたときの私は、とても立派だった。
午前9時の私は、洗濯機を回しただけで一日の仕事を終えた顔をしていた。
しかも、洗濯が終わったことにも気づかず、約2時間放置。
取り出したタオルは、爽やかな柔軟剤の香りではなく、「私はずっと待っていました」という湿った抗議の匂いがした。
「ああ、もう。私って本当にだめ」
その言葉は、考えるより先に口から出た。
ブログも書けない。
部屋も片づかない。
買い物にも行きたくない。
それなのに婚活相手には、明るくて自立した女性に見られたい。
画面越しに「休日は何をしているんですか?」と聞かれたら、「文章を書いたり、カフェへ行ったりしています」と答える予定だった。
まさか、「今日は洗濯物を2時間熟成させました」とは言えない。
結婚したいと思っているのに、こんな自分を誰かに見せるのは怖い。
元気な女性に見られたい。でも、元気なふりをする元気すら残っていない。
その矛盾が、いちばん疲れる。
私は洗濯物を干しながら考えた。
やる気がないから動けないのか。
それとも、動けるだけの元気がないから、やる気まで湧いてこないのか。
似ているようで、この二つは少し違う気がした。
「頑張る」の前に必要なものがあった
美容業界で働いていた頃、いつもきれいに身なりを整えている先輩がいた。
髪はつややかで、メイクも崩れない。
接客中の言葉遣いも美しく、忙しい日ほど動きが速かった。
私は勝手に、「この人はもともと強い人なのだ」と思っていた。
ある日、休憩室で二人になったとき、その先輩が栄養ドリンクを飲みながら笑った。
「私ね、何もしなくても元気な人に見えるでしょう。でも、けっこう必死よ」
その言葉を聞いて、少し安心したのを覚えている。
きれいな人も疲れる。
仕事ができる人も、何かに頼る。
私は「自分で全部できる人」が大人なのだと思っていたけれど、実際の大人は、自分を立て直す方法をいくつか知っている人なのかもしれない。
睡眠を取る。
温かいものを食べる。
予定を減らす。
誰かに話す。
そして、必要に応じて体を支えるものを取り入れる。
この日、私がリゲインの「トリプルフォースEX」を見つけたのは、机に座ってからだった。
正確に言うと、私は「サプリメント」を探していた。
検索窓に「疲れ やる気 出ない サプリ」と打ち込み、いくつもの商品ページを開いた。その中で目に留まったのが、黄色と黒のパッケージだった。
名前が強い。
「トリプルフォースEX」。
今の私の戦闘力が木綿豆腐くらいだったので、その力強さに少しひるんだ。
ただ、公式情報を読んでみると、これは一般的な健康食品のサプリメントというより、疲労回復や予防などの効能が認められた「指定医薬部外品」だった。
15歳以上は1日1回2錠を水またはお湯で服用する商品で、1袋に60錠、30日分。リバオール、ビオタミン、パンテチンに加え、リボフラビン、カルニチン塩化物、ガンマ-オリザノールが配合されているという。リゲイン公式の商品情報
「1日1回なら、私にも続けられるかもしれない」
そう思った直後、通常価格5,500円という数字を見て、私の中の家計簿担当者が眼鏡を押し上げた。
一日あたりにすれば約183円。
けれど、月額で見ると決して何も考えずに買える金額ではない。
作家志望、独身、婚活中。
そして、欲しいものを見つけるたびに「これは自己投資です」と唱えがちな女。
美容液も自己投資。
服も自己投資。
カフェのケーキは心への投資。
この調子では、私の資産はすべて「自分」という銘柄に集中してしまう。
だから、勢いでは決めなかった。
睡眠時間が足りているか。
食事を抜いていないか。
予定を詰め込みすぎていないか。
まずは、その三つを確認した。
それでも疲れを感じやすく、元気の土台を補いたいと思ったとき、こうした商品を選択肢に入れるのは悪いことではないと思った。
元気は、派手に登場しなくてもいい
私が期待したのは、飲んだ瞬間に目が輝き、部屋を片づけ、ブログを三本書き、婚活相手にも完璧な返事ができる――そんな魔法ではない。
むしろ、魔法を期待し始めたら少し危ない。
トリプルフォースEXは、やる気そのものを作る商品ではない。
けれど、疲れを回復・予防し、体力や集中力の維持・改善などを助ける指定医薬部外品として販売されている。
私はそこに、少しだけ現実的な希望を感じた。
「元気になったら何をしよう」と考える前に、
「元気が戻るために何ができるだろう」と考えてみる。
その順番なら、今の私にもできそうだった。
もちろん、誰にでも向いているとは思わない。
疲れの原因が睡眠不足なら、まず眠るほうが先だ。
食事が極端に偏っているなら、錠剤だけで帳尻を合わせようとしないほうがいい。
価格が負担になり、買ったことへの罪悪感が増えるなら、それも違う気がする。
服用後に発疹、胃の不快感、下痢などが現れた場合は使用を中止し、医師・薬剤師・登録販売者へ相談するよう案内されている。また、ほかのビタミン含有製品と併用する場合は、過剰摂取にも注意が必要だ。
そして、休んでも疲れが続く、日常生活に支障がある、気分の落ち込みまで長引いている。そんなときは「やる気の問題」と決めつけず、医療機関へ相談したほうがいい。
私自身、元気がないときほど原因を一つに決めたくなる。
年齢のせい。
仕事のせい。
婚活のせい。
夏の暑さのせい。
最後には、だいたい「全部、冷蔵庫にプリンがないせい」という結論になる。
でも、本当は原因が重なっていることも多い。
だから、トリプルフォースEXだけに全部を任せるのではなく、睡眠や食事、休息を見直す中で、体を支える選択肢の一つとして考えることにした。
「頼る」という言葉には、少し弱い響きがある。
けれど私は、何にも頼らずに倒れるより、上手に頼りながら立っているほうが、ずっと格好いいと思うようになった。
今日できたことを、ゼロにしない
夕方、私は朝から開いたままだったパソコンの前へ戻った。
ブログは完成していなかった。
買い物にも行けなかった。
それでも、洗濯物は乾き始めていた。
簡単なスープを作り、机の上に積んでいた郵便物を片づけた。
オンラインで話す予定だった相手には、少しだけ正直に言った。
「今日は、あまりエンジンがかからない日でした」
すると、その人は笑って答えた。
「そういう日、ありますよ。僕も昨日、リモコンを冷蔵庫に入れていました」
結婚相手になるかどうかは、まだ分からない。
ただ、元気で立派な自分だけを見せなくても、会話は壊れないのだと知った。
その夜、スマートフォンの電卓をもう一度開いた。
朝と同じ「0」が表示されている。
私はそこに「1」を足した。
洗濯をした。
スープを作った。
自分の疲れを認めた。
数え方を変えれば、今日はゼロではない。
やる気を無理やり引っぱり出すより、まず元気を守る。
十分に休み、それでも必要だと思ったら、体を支える商品にも頼ってみる。
元気が戻れば、やる気は後ろから小走りでついてくることがある。
完璧な一日にはならなかったけれど、朝より少しだけ、自分の扱い方が分かった気がした。
あなたの元気が電池切れになった日は、何をひとつ、自分のために選びますか。





