家事から買い物まで着替えずOK

朝の私をいちばん苦しめていたのは「服」だった
6月も後半になりました。
窓を開けると、少し湿った夏の風が入ってきます。
洗濯物は増えるし、汗もかくし、紫外線も気になる。
そんな季節なのに、私には毎朝ひとつ小さなストレスがありました。
それは「着替えること」です。
たぶん、この言葉だけ聞くと
「え?着替えるくらい普通じゃない?」
と思う人もいるかもしれません。
でも30代になってからの私は違いました。
朝起きる。
洗顔する。
コーヒーを淹れる。
仕事を始める。
洗濯を回す。
スーパーへ行く。
コンビニへ寄る。
ドラッグストアへ行く。
宅配便を受け取る。
そして帰宅する。
たったこれだけのことなのに、そのたびに
「何を着よう」
が発生するのです。
誰も私なんて見ていない。
それは分かっています。
だけど見られていないわけでもない。
この中途半端な感覚が苦しいのです。
パジャマでは出られない。
でもおしゃれをするほどでもない。
かといって適当すぎる格好だと気分が落ちる。
私はずっと、この小さな違和感を見て見ぬふりしていました。
「ちゃんとして見える部屋着」を探し続けた話
SNSを開くと、素敵な女性たちが出てきます。
朝から完璧なヘアスタイル。
おしゃれなワンピース。
丁寧な暮らし。
美しいキッチン。
もちろん憧れます。
私もそんな風になりたいと思います。
でも現実の私は違います。
朝起きて髪はボサボサ。
洗濯機を回している間に仕事のメールを返す。
気づけば昼。
気づけば夕方。
そんな日が普通です。
だから私はずっと
「家事もできる」
「近所の買い物も行ける」
「急な来客も対応できる」
そんな服を探していました。
いわゆるワンマイルウェアです。
でも不思議なことに、探せば探すほど見つからないのです。
可愛いけど家事しづらい。
楽だけど外へ出るとだらしなく見える。
外出できるけど部屋でくつろげない。
全部が惜しい。
全部があと少し。
まるで婚活みたいだなと思いました。
条件は良いのに何か違う。
悪くないのに決め手がない。
服探しと恋愛って少し似ています。
私はそんなことを考えながら、何年も服を買っていました。
30代女性が本当に欲しいのはおしゃれじゃなく「余白」かもしれない
最近になって気づいたことがあります。
私は服が欲しかったわけではありませんでした。
余白が欲しかったのです。
着替えるか迷う時間。
鏡の前で悩む時間。
出かける前の準備時間。
そういう細かい時間に疲れていたのです。
30代になると責任が増えます。
仕事もある。
美容もある。
人付き合いもある。
恋愛もある。
将来への不安もある。
親のことも少しずつ気になり始める。
毎日いろんなことを考えています。
だからこそ
「服くらい考えたくない」
という日があるのです。
誰かに会う予定がない日くらい。
スーパーへ行くだけの日くらい。
家事をするだけの日くらい。
何も考えずに過ごしたい。
そんな日はありませんか。
私はあります。
むしろ毎日あります。
だから最近は
「家事から買い物まで着替えずOK」
という服を選ぶようになりました。
おしゃれのためではありません。
自分をラクにするためです。
以前の私は
「ちゃんとしなきゃ」
ばかり考えていました。
でも今は違います。
「ラクなのに気分がいい」
を選ぶようになりました。
それだけで毎日が少し優しくなった気がします。
実は服の話ではなかったという結末
ここまで読んでくださった方は
「結局おすすめの服の話?」
と思っているかもしれません。
でも実は違います。
今日、本当に書きたかったのは服の話ではありません。
私は長い間、
人生を変える方法は大きな決断だと思っていました。
転職とか。
結婚とか。
引っ越しとか。
大きなお金を使うこととか。
そういうものばかり見ていました。
でも最近思うのです。
人生を変えるのは案外もっと小さなことなのだと。
着替えなくていい服を選ぶ。
朝5分だけ散歩する。
お気に入りのマグカップを使う。
コンビニで少し高いアイスを買う。
そんな小さな選択です。
そしてもっと驚いたことがあります。
私を苦しめていたのは服ではありませんでした。
「ちゃんとしなきゃ」という思い込みでした。
誰かに認められたい。
ちゃんとした大人に見られたい。
ちゃんと生きたい。
そう思えば思うほど苦しくなっていました。
でもある日、スーパーで気づいたのです。
私が着ていたのは何年も着古した楽な服でした。
髪も適当でした。
メイクも薄かったです。
それなのに私はすごく幸せでした。
買い物帰りの夕焼けが綺麗で。
少しだけ涼しい風が吹いていて。
好きなアイスを買っていて。
その瞬間の私は、自分を好きだと思えたのです。
おしゃれだったからではありません。
頑張っていたからでもありません。
ただ、自分に無理をさせていなかったからです。
だからもし今、
なんだか疲れている人がいたら。
服を変える前に。
美容液を買う前に。
恋愛を頑張る前に。
一度だけ考えてみてください。
本当に変えたいのは何なのか。
もしかすると、それは服ではなく。
生活でもなく。
恋人でもなく。
自分自身にかけ続けている「ちゃんとしなきゃ」という呪文なのかもしれません。
私は今日も家事をして、近所へ買い物へ行きます。
たぶん着替えません。
でもその方が、少しだけ自分らしく笑える気がしています。






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